今回のゲストは、劇団俳優座所属の女優 木下菜穂子さんです。木下さんとは昨年の俳優座ラボ公演「法王庁の避妊法」で初共演して以来のお付き合いです。今はNHK教育で木曜夜7:30からOAされているアニメ 「無人惑星 サヴァイヴ」でレギュラー共演中。同劇団の後輩ではありますが一人の女性としても大好きな友人です。 ぶっちゃけ話満載で語ってくれました。シリーズ2回目、最終回です。 | |
| 初めてのアニメ出演 | |
| 安藤 | さてさて、無人惑星サヴァイヴです。収録の方は早くも後半。どうですか初めての体験は? |
| 木下 | もうもう初めは「え?」って感じでして・・・。「私ですか?」って信じられなかったです。事務所の方も先方様に聞き返したらしいですよ、受話器握りしめて「木下ですか?先日法王庁の避妊法に出演していた、あの、あの木下ですか?」って。そしたら「そうです」って(笑) |
| 安藤 | まぁそうだよね、普通アニメのキャラ声の声優はオーデションで決まるらしいけど、サヴァイヴはオーディション無かったんだもんね。私も、突然聞かされてびっくりしたもん。14歳の子だっていうじゃないの。あら〜どうしましょって感じだった(笑) |
| 木下 | 私なんて本当に仕事としての声の世界に触れたのはこのサヴァイヴが初めてで、もう右も左も上も下も分からない状態でした。正直その時アニメのレギュラーを頂くってこと自体の大きさもよく分かってなかったもんですから、実感がわかなかったです。 |
| 安藤 | ぽこも最初に言われたと思うけど、私も初めてアテレコをやるにあたって佐藤さんに最初に言われた事が今でも印象に残ってるんだよね。 「たとえ自分が思うように出来なかったりしてもキャスティングしたあんたが悪いって思えばいいんだよ」って。これってすごい安心感だったよ。もちろん恥かかせないように頑張って精一杯やらせてもらってる次第です(^^) |
| 木下 | そうですよね、私もそう思います。とはいうものの、現場ではどんな状態でも下手でもダメでもやらなくちゃいけないし、当たり前ですけど、やらなきゃ終わらないしでもう収録初日終了後は落ち込みましたね・・・。かなり・・・。 |
| 安藤 | ううん、大変だったね。スタジオ来る道で迷って遅刻ギリギリだったし(笑)ぽこは時間にルーズな子ではないから心配になってスタジオの外まで見に行ったとき、泣きそうな顔して「麻吹さ〜ん、迷って違うビルに入っちゃって怒られちゃいました」って来たぽこが今でも・・・笑える(爆) |
| 木下 | そうだったんですよ〜。もう最悪でした。その焦ったようなドキドキした気持ちのまんまで初めての収録、それも全てが初めての状態でスタジオに入った途端収録始まってって感じで。 |
| 安藤 | 可愛そうだったよ、な〜んかこれでもか!ってくらいにアンラッキーが重なって始まって、おまけに緊張でしょ?普段だったらなんでもなく出来る演技がぎこちなくなっちゃってね、私の初アテレコの事を思い出して何とも言いがたい感情になったわ。 |
| 私がんばるっ | |
| 木下 | 第1話のシーンで覚えてるところがあって、ロッカー室の場面なんですけど。ロッカーを開けようとするんだけど開かなくて「このロッカーこの間までは開いてたのに・・・」って独りごと言った後で向こうにいるクラスメイトに聞くんですよね「ねえ、このロッカーのカギ知らない?」って。本当のセリフは違ってたかもしれないですが、そんなようなセリフだったんです。 で、そこで私は出来なかったんですよ。その距離感の使い分けが・・・。何度やってもダメでディレクターの佐藤さんが「ロッカーは自分の目の前にあるんだよ、それを開けようとしたら開かないんだよ。よくあるだろ日常でも」って言われて。「そうだよなぁ」って思うんですけど、頭では分かってるんだけどもう頭も体もコチコチになっちゃっててどうにも出来なくて・・・。 |
| 安藤 | 多分これ読んでると「なんでそんな簡単な事出来ないの?」って不思議に思う人いっぱいいるかもしれないけど、人間は思いもつかない状態に陥る事もあるんです。私はよく理解できるんだなぁ。頭の中が真っ白っていうのはこういうことなんだよね(^^) そういう状態になってしまった収録初日の木下菜穂子さんは誰も思いつかない行動にでましたよねぇ? |
| 木下 | はい。あんまり私が出来なくてダメなもんだからディレクターさんが「台本に書いてあるセリフを読むな!」って言ったんです。「そっか、読んじゃだめなんだ・・・。」って思って、台本を椅子において見ないでやったんです。 |
| 安藤 | もう私、「おいおい大丈夫かよ〜、台本はずしちゃったよこの子ってば。セリフ覚えてんのかなぁ」ってドキドキして。一言「台本は持っててもいいのよ〜」って言ってあげたかったんだけどそういう事をあっちもこっちも色んな人からアドバイスされてもあの時のぽこには逆に混乱させちゃうような状態だったからやめたの。「台本に書いてあるセリフをただ読むな。ちゃんと心からのセリフにしろ」って事なのよね。真意は。 |
| 木下 | 落ち着いてみれば簡単に理解できるんです。なのに・・・。でも、違うだろうが何だろうがもう裸になるくらいの覚悟を持って挑まなければ出来なかったんですよね。 |
| 安藤 | 私はとっても素晴らしい事だと思います。失敗を恐れたり、格好ばかりを気にしてるようじゃ先々本物にはなれないと思うし(^^)すべてが自分の栄養になるって信じられるか信じられないかで大きく変わってくるよね。でもそんな思いをしながらもすっかりシャアラらしくなってきて最近ではもう堂々たるもんですよ。 |
| 木下 | ただね、石田さんなんかにはあの時の私の印象が強いらしくって。たまに収録の途中にトイレに行って帰って来てそのままスタジオには入らずロビーで出番待ちしたりする事あるじゃないですか?その時たまたまシャアラのシーンがモニターに流れてたんでついセリフをその場であてちゃったんです。ほんの短いセリフでしたから。そしたらそんな私を見ていた石田さんが「木下さんてやっぱりセリフいつも覚えてるんだ?」って言うんですよ。「何でですか〜?」って聞いたら「台本はずせって言われたらいつでもはずせるんじゃないの?」って・・・「はずせないですよ、何言ってるんですか!」って言ったら「いやぁ、はずせって言われたらはずすって印象の人なんですけど」って(笑)未だにあのイメージは強いみたいです(笑) あ、今はしっかり持ってやってますよ(^^)ページのめくりでノイズをたてないようにするためだったり色々仕事上必要な動作ってこともありますから。 |
| 「みんなの家」 | |
| 安藤 | 今までOAされてる分のサヴァイヴのお話の中で一番好きなのはどのお話? |
| 木下 | 「みんなの家」ですね。 最後のシーンで初めてみんなで料理をかこんでかんぱ〜い!って楽しいシーンだったように記憶してます。もうハワードが可愛すぎでね(^^)ベルとハワードの関係がそれまで一番微妙だったんですよね。お互いの父親の力関係も含めて。それが初めてベルが「親は関係ない!これは僕達の問題だ!」ってはっきりハワードに自己主張するんですよ。それまであった垣根が崩れてきて・・・。この回全体的に好きでした。 |
| 安藤 | そうだね〜。メノリが何故かハワードの服を川で洗濯してた回だな・・・(笑) 私はねぇ、前半のサヴァイヴァル生活やってる頃のお話が特に大好き。泣いたのは「僕だって帰りたいんだ」みんなが海に向かってそれぞれの寂しい思いを叫んだ回。リハでも泣いたし収録でも泣いた。おまけにOA見て倍泣いた。BGMが入ってより一層よかったもの(^^) |
| 木下 | あ、OA見て泣いたといえば「お父様、お母様!」の「優しいメロディ」ですよお〜。私、テレビの前で大泣きしてました。 |
| 安藤 | 優しいメロディ。懐かしい。私、この回に出てくる小さい頃のメノリやりたかったなぁ・・・。ちょっと悔いが残ってるかな。でも、実際小さいメノリをやった声優さんがとっても可愛かったのでメノリ・ヴィスコンティにとっては良かったなって思ってます(^^) 私にとってメノリという女の子は以前は少し距離を感じていたんだけど、どうも最近の彼女を見ていると「私に似てる?かも・・」と思うところが多々ありまして・・・。今じゃ、非常に愛着が・・・。大人になったメノリと一緒にお酒でも飲みながら語り合いたいもんだわ。話題は「現代社会での己のありかた」なんてね〜(笑) |
| 木下 | シャアラは私自身の生い立ちと微妙に似てるんです。私もシャアラみたいに本を書いてたしいじめられっこを救って逆にいじめられてたりしてたんですよ。だけど正義感だけは強くって「いじめられたって別にいいもん。私は悪くない」って。あ、ルナが少し入ってる感じですねぇ。 |
| 安藤 | あはは、そうだね(笑)そうそうサヴァイヴと言って忘れちゃいけないのが絵の美しさ。毎回癒される〜(^^) |
| 木下 | そうですよね。収録時には毎回完全に出来上がった絵を用意してくださって本当にスタッフの方々には感謝しています。 |
| 安藤 | 度々思うの。ああ、メノリのこの一種独特な喋り方を考えて生み出している方がいらっしゃるんだな。メノリのこの何ともいえない可愛らしい表情を愛情込めて描いてる方々がいらっしゃるんだなって。だから私はより一層の愛情を持って取り組みたいっていつも思ってる。 |
| 木下 | 私もそう思います。これからも心を込めてやらせていただきます。サヴァイヴはまだまだ続きますけど終わりが来るって思ったら恐くてしょうがないです、かなりの愛情(^^)だってこんなに長く携わった作品って今まで私にはないですもん。終わらないで〜って感じです。 |
| 木下菜穂子さん、ありがとうございました。 | |